社会的投資とその手応えについて – 『子供の貧困が日本を滅ぼす』を読んで2016/10/22

日本財団の子どもの貧困対策チームが出した『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』という本が本屋で平積みにされていたので買いました。副題にある通り、子どもの貧困による社会的損失が40兆円、という試算。

子どもの貧困を放置するとどれほどの社会的損失になるかという仮説を警鐘として提示して、ここに適正な投資をして効果検証するまでをきちんとやりたいということが書いてあります(奨学金とか、そういうことですよね)。

2つほど気になった点があって、一つは社会的相続という考え方。本来的にあらゆる意味における相続って大事で、金銭だけじゃない色々なアセットがあって、多分社会のアセットを分配するような、それはメンタルとかモチベーションとかチャンスとか物理的じゃないものも含めてだと思うのだけど、そういう視座での対策が必要という話。これは支援の捉え方の話。

もう一つは効果を測定することが難しいという話。例えば、カナエールやって、本当にその子の人生にとって意味を持つのかという効果検証って、ここで挙げられている、①長期的な効果の把握、②因果関係の把握という両面において難しく、プロジェクトに参加するボランティアの人と話してても、やり切ったと思う反面、引っかかるところもあるという話があって。

そんなことがありつつも、プログラムは7年目だそうです。僕は4年目。

来週、カナエール 2017のプロモーションのキックオフがあるのですが、最近、改めてソーシャルインパクト、ということを少し考えています。このプログラムを子どもを主軸に考えると、参加する子どもたちに「ロールモデルになってもらう」というのがあります。奨学金支援プログラムとして目指すもの。じゃあ、大人を主軸に考えると、どうなるかというと社会問題に対する「コミットメントを求める」ということになるのではないかと思います。

東京、横浜、福岡を合わせて、スピーチコンテストへの来場者およそ1,600人、プログラムに参加する社会人ボランティアおよそ70人、運営スタッフおよそ120人、ここにカウントできていない外部のサポーターや、スポンサー企業もおり、年間2,000人近い人が関わるプロジェクトになります。「コンテストに来場すること」が「コミットメントを求めること」と対になっていることにも、このプログラムが「スピーチコンテスト」の形式を取る意味があるだろうと思っています。

「子供の貧困」という言葉はかなり強烈な言葉だと思うのだけれど、おそらく大きく解決するには政策が必要です。また、もっと多くの子どもたちを個別にフォローするには別のプログラムが必要です。そういう中で、ただ、社会問題に警鐘を鳴らし、情報のやり取りをするだけの議論に留まらず、Activity-Based Discussionとして、多くの大人を巻き込むプログラムであることに、カナエールのポジショニングはあるのだろうと思います。

アウトリーチ – 欠如モデルからプロジェクトモデルへ : kosukekato.com : the idea espresso

そう考えると割と壮大な話なのだけれど、とは言え、いつもそんな仰々しいことを考えながらやってるわけでもないわけだけど、その辺、大事な感覚だと思うのですよね。どれくらいの人にリーチできて、どれくらいのコミットメントを求め得て、そうして生まれた社会的投資が、本当はどれくらいの意味を持つかという効果検証が為されなければいけないのだろうと思うのだけれど、そこに答えを求めるにはまだまだ時間がかかるのだろうなと思います。

そんなことを考えながら読んだ本。気になっている方はご一読をお薦めします。


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