見える化の話 – 巨人の肩の上に立つ2016/12/10

「見える化」って言葉が流布されて随分立つ気がしますが。見えないものを見えるようにすること、見えづらいものを見えるようにすること、見せづらいものを見えるようにすること、辺りか。大体、物事は直接会って対面で話すのが一番良いのだろうと思うのですが、そうもできないことも世には多く、だから、見える化って大事なんだろうなあと思います。最近、見える化について考えていることをいくつか。

思考プロセスの見える化

結論が正しければ良い、って言うのは、一人で完結することなら良いですけど、人を頼りにする時には思考プロセスごと渡せると良いのだろうなと思います。自分の思考プロセスを人の道具として渡す、ということですよね。「論理」の場合もあるし、「気持ち」の場合もあるし、「想い」の場合もあるかも知れない。自分の頭の中にあるものをきちんと説明しようと思うと、メタ認知というか、自分を客観視する視点が必要になってくると思うのだけれども、こういう時に「書く」って行為は割と重要なのではないかと思います。今はチャットみたいなフローのコミュニケーションも多いから、思考の共同編集みたいなこともやりやすくて、今の時代にあって、大切なのは議論ではなく、もっとピッチの細かい思考の共同編集なのではないのかなあと思います。そういうのが例えばグループチャットみたいなもので行えると、コミュニケーション自体が、思考プロセスの見える化になる。連絡事項のやり取りに留まらない。この辺がコラボレーションの時代におけるコミュニケーションの価値なのではないかなあと思います。

行動履歴の見える化

アクティビティログとか言いますが。GPSロガーつけて旅に出ると、何も旅程立ててなくても、自分がどう動き回ったか可視化できて面白いものだなと思うのですが(言うほどやってことないけど)、インターネット上だとログとかCookieとかになりますよね。ただこれ、無作為にデータ集めてもなかなか収拾がつかないものではあって、そもそもの文脈がきちんと用意されているか、というのが大事だよなあと思います。そこの筋の良さでCVRとか離脱率とか外れ値とかが、ぐぐっと見やすくなる、ないし、意味付けをしやすくなる。コンバージョンって用意した仮説に納得してもらえるかというニーズマッチングのプロセスだと思っていて、ハードルが高い場合も低い場合もあるけれど、意図を以って文脈を用意することが大事だと思っています。そうすると、データって使える道具になる。

方法論の見える化

コンサルタント的に言うとフレームワーク、なんだけど、僕、割とフレームワークに当てはめて考えようみたいなこと好きじゃなくて、ただ、これまでに考えたことがある程度パッケージされていれば、問題解決にあたる時に、それが適用できるかどうか、ということで考えることができますよね。「これまでに考えたこと」を材料として集めて、それを仮説にしてまた考える、というような。「これまでに耳にしたこと」とか「これまでに目にしたこと」とか「これまでに口にしたこと」とかもそうだけど。結局、仮説構築って、海辺で貝殻拾い集めするようなことに近くて、なんかこう砂浜イメージできると良いのだろうと思うのですよね(グラン・ヴァカンス思い出すな)。一つ一つのフレームワークって、一旦パッケージ化してしまうと静的になるからそれはAIみたいなもので、ただそれを改めて人が道具として使うと知恵になるというような。

巨人の肩の上に立つ

20代で覚えて、好きになった言葉の1つですね。なんか割と使い古された言葉ではあるけれど。

“nani gigantum umeris insidentes”

見える化の目的って結局これではないかなと思うんですよね。「先人の積み重ねた発見に基づいて何かを発見することを指す」。目に見えなかったものは、目に見えるようになって、誰かの道具になる。人が使う道具を用意するために、意識して「見える化」をする。次の人のために、自分の仕事をする。そういうことなんじゃないかなと思います。たまたま昨日読んだ記事にこんなのがありました。

宮崎駿は20年間ある人の真似をし続け…自分を捨てたとき、あなたがやるべき仕事に出会える | ニコニコニュース

ここで「自分を捨てる」ってのが出てくるんだけど、あんまりこれスピリチュアルなことじゃないと思っていて、いかに使いやすい道具であるかってことが大事だと思うんですよね。お互いに。「人間を道具のように扱う」って否定的な意味合いに使われることが多いけれど、自分が道具として扱われるんじゃなくて、人に物理的なものとしてじゃない道具(考具)を渡せることって価値があると思う。本とか代表例だけど。人のための道具をたくさん用意して、人に道具をたくさん用意してもらえば良い。「自分流」にこだわるんじゃなくて、色々なツールセットが揃って「できること」は広がる。なんかそういうイメージなんじゃないかなあと思います。「見える化」で誰かの「できること」は広がる。

そういうエンパワメントって面白いと思うんですよね。


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