批評家精神2017/4/13

最近、なんか批評ということがわかって来た気がします(唐突)。よく、小林秀雄の「批評とは人を褒める技術である」という言葉を引用するのだけれど。批評って、趣味のみならず、僕の仕事の一部であるデザインの分野においてもとても重要なことなので、まあなんか大事。

批評って、皆、やってると思うんだけど、実際、批評って何であるのか、どういう行為であるのか、っていう定義持ってる人って、案外多くないんじゃないかと思うんですよね。例えば、本を読んで感想を言うのも批評にくくられそうだし、ニュースを読んで批判するのも批評にくくられそうだし、人の仕事を評価するのも批評にくくられることがありそうです。批評、批評、批評。

というところで、なんか定義を考えてみる。

あんま自分のこと批評しないですよね。これは割と馴染む考え方のように思います。自己批評という言葉はあんまり聞かなくて、自己表現とか、自己批判みたいな言葉の方がよく耳にします。

少なくとも他者へのアプローチではありそうです。

で何を批評するのかということなのですが。

多くの場合、自分がやってないこと批評するんだと思うんですよね。例えば、本の感想なら、自分の書いてない本、ニュースの批判なら、自分の関わってないニュース、仕事の評価なら、自分以外の誰かの仕事。

つまり自分はそれをやってない。

この、自分はそれをやってないということを視点とした時に、やった人のところまでのアプローチ、というのが批評なのだろうと思うのです。

アウトプットとしては、「楽しかった!」とか「面白かった!」とか「美しかった!」とか逆に「つまらなかった!」とか「ひどい!」とかあると思うのだけど。ただ、自分がそれをやってない、ということを始点にすると、そこまでのプロセスは結構褒めれる。なんせ自分やってないから。

その上で、本の感想なら、自分がそれを書いたかのような思考を、ニュースの批判なら、自分がそれを経験したかのような思考を、仕事の評価なら、自分がその仕事をしたかのような思考を、アプローチ、これは例えば山を登る時にそこまでの道筋をアプローチというのに同義だけど、積み上げる。最終的に批評する人の横に並ぶまでを目指す。ある意味での疑似体験で、ある意味でのUXデザイン、と言えるのかも知れない。

例えば他のデザイナーのデザインを批評する時もそうで、デザイン見て、ここなんでこうなってるのかなとか、ここどうしてこうしたのかなとか、自分がデザインした立場になって考えるんですよね。他のデザイナーのデザインのプロセスを、思考の世界で擬似的に再現していく、それを踏まえて、自分の思考が差し込めるところを探していく。

あと全然専門外なのですが、そう言えば人工知能に関して、こないだこんな記事がありました。

AIが電通報の記事を書いた~中部経済新聞のプロジェクトに見る「AIの未来」~ – 電通報

池上:そうですね。今回のプロジェクトでは文章生成のみAIがやりましたが、本来はAIが作成した文章を別のAIが評価し、そのフィードバックを受けて文章を洗練させていくというのが理想です。

中村:編集者のAIをつくるには、過去に修正指示の“赤入れ”をした文章をひたすら読み込ませるんです。そこで修正前の原稿と修正後の原稿の差分を学習させると、AIは「良い文章」と「悪い文章」の違いを学んでいくんですね。その上で、文章を書くAI と編集者のAIでやりとりさせれば、AIが書いたものをAIが評価して、それを読み込んだAIが再度書いたものをまたAIが評価する、というふうにAIだけで文章を高めていけます。

これとか批評なのかどうなのかと思うのだけど、これは多分、思考プロセスをなぞる、ということをせずにアウトプットに対して別のアルゴリズムで評価をして、フィードバックする、ということなのだろうと思うのですよね。こういう批評もあって、これ思考プロセスなぞることを、AIの凡例学習のボリュームで担保している、ということなのかなあと思いました。つまり、超専門分野の専門家的批評。これ僕にはできない。

つまり僕の批評へのスタンスって、自分がやってないからには、それに関してシロウト、としてスタートする批評ということなのかなあと思います。勿論、自分の経験則もあるわけだけど、それを積み上げただけでは、やっぱりその人の横に並ぶまではリーチできない気がしていて、その隙間、隙間を埋める想像力と学習が必要なのではないかと思います。目標への道筋を正鵠にトレースすることなんて本人以外にできないわけで、だからそこにはアプローチの試行錯誤があって、だから批評は膨らむのだろうなあと。

そういう「シロウトスタート」の批評って、言っちゃえば、何でも批評できる、ということでもある気がするから、面白いのかも知れないなあと。

批評家精神。

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