『ワンロード | 現代アボリジニ・アートの世界』 地理と聖性とアート2017/8/1

これ行きたかったなーと。昨年、国立民族学博物館で行われた「ワンロード: 現代アボリジニ・アートの世界」という企画展にまつわる本です。当時、全然知らなかったのだけど、冊子、アート本の割には色々読むところあるのと、上橋菜穂子さんや池澤夏樹さんや石川直樹さんも寄稿しており、面白かった。

ワンロード | 現代アボリジニ・アートの世界
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牛追いルートという、白人が道を開拓し入植する際に迫害した先住民族アボリジニの歴史、それを辿りながら、現代のアボリジニ・アーティストが作品を作り出しています。プリミティブ・アートみたいなものって雰囲気としては好きだけど、イマイチきちんと理解してなかったのだけれど、解説に「神話地理学」という言葉が使われていたけれども、まず語られるべき「物語」があり、それを語るために必要なエレメントとしての「場所」があり、そこにある情念や情動を場所の繋がりとともに色鮮やかに描き出された「地図」なんですね。ああそういうものなんだなというのがよくわかりました。

例えば日本でも妖怪とか物の怪の形で古い災害の歴史が残っていて、それらは民俗学的に研究されており、古くは柳田國男、最近だと畑中章宏さんの本とかいくつか読んだけれども、聖性には、迫害だったり、災害だったり、人が辛み悲しみを経験した記憶がその背景としてあり、それを思い起こす時に、民族の繋がりへの強い畏怖や畏敬があって、それが絵画の形を取り、今、ファイン・アートとして評価されてる、そんな感じではないかなあと思いました。

歴史の表と裏、このワンロードをアボリジニの視点で描き出すというのは、オーストラリア国立博物館が立ち上げた「プロジェクト」だったそうなのだけれど(それが世界を巡回した)、これは1つのアクションであり、社会に対する啓蒙・啓発をアートの分野でできることだったのだろうなと思います。そういう、プロジェクト・デザインの視点でも面白かった。

出会えて良い本でした。

隣のアボリジニ―小さな町に暮らす先住民 (ちくまプリマーブックス)
上橋 菜穂子
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21世紀の民俗学
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畑中 章宏
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